眠り姫はひだまりで


…見えていたら、いいのに。

今、この時間だけ、私が王子様のお姫様になれたら、いいのに。


もう一度、依然余裕たっぷりに笑う純くんを見る。

…この王子様が、一体どういうつもりか知らないけど。

私にだけ見せる意地悪な笑みも、
子供っぽい笑顔も、照れた顔も。


ぜんぶ、好きだなぁって、思うんだよ。


私は彼から少し目をそらしながら、口を開いた。


「…ちょー、だい」


そして、何故か彼の前では素直になれない、私も。

頬が熱いから、きっと今の顔はとても赤いはず。


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