首(外道×貴族)【BL】
『キケロ?』
世の中、上には上というものがあり、
例に漏れず暴力の世界でキケロを圧倒する人間がいる。
ルカスの顔は広く、あらゆる層に知り合いがいると、エリックからは聞いていた。
油断して噛み付いた自分の落ち度を責める暇があれば、
状況の好転を考え、動く方がキケロの性に合っていた。
その日、電話口から漂った脅威はまだキケロに接触して来てはいない。
『俺だよ俺、帰ったんなら連絡くらいしてちょうだいよ!
さーみしいの』
声を聞き凍ったこちらの顔色を、
楽しそうに伺うルカスを睨み、
半ば自棄になって電話を無理に切った。
ゴドーの寄る天文学部の部室にはエリックを始めエリックの友人の一年等と、
問題の人物、愛嬌のある笑みで、如何にもな上流育ちの雰囲気の、
会ったその日にキケロの顔面に飛び蹴りを入れたルカス・フィオーレがいた。
人の消えた放課後の部室で、
頭痛さえして来たキケロに満足気、
ルカスは笑みを浮かべている。
話があると残されて、突然その声を聞かされた。
声の主はキケロの弱みであり脅威である実力者。
エリックの他に、キケロが頭の上がらない、
数少ない人間の一人だった。
「おまえの話をしたら会いたがってな、一先ず声だけでも聞かせてやろうと」
優しい調子だったが、それは明らかな牽制で、
この圧力はキケロの闘志に火を着けた。
自分の弱みを暴き、握り、揺さぶりを掛けたこの男を屈服させる。
去り際、短く後ろでふわりと纏まった髪の下に見えた首の白さは、
キケロの素直な欲望にも訴えた。
「覚えてろよてめぇ、今にその鼻につく眼光、
根本からヘシ折ってやるからな!
そん時に俺を脅したことと笑ったこと、
必ず後悔させてやる・・・」
世の中、上には上というものがあり、
例に漏れず暴力の世界でキケロを圧倒する人間がいる。
ルカスの顔は広く、あらゆる層に知り合いがいると、エリックからは聞いていた。
油断して噛み付いた自分の落ち度を責める暇があれば、
状況の好転を考え、動く方がキケロの性に合っていた。
その日、電話口から漂った脅威はまだキケロに接触して来てはいない。
『俺だよ俺、帰ったんなら連絡くらいしてちょうだいよ!
さーみしいの』
声を聞き凍ったこちらの顔色を、
楽しそうに伺うルカスを睨み、
半ば自棄になって電話を無理に切った。
ゴドーの寄る天文学部の部室にはエリックを始めエリックの友人の一年等と、
問題の人物、愛嬌のある笑みで、如何にもな上流育ちの雰囲気の、
会ったその日にキケロの顔面に飛び蹴りを入れたルカス・フィオーレがいた。
人の消えた放課後の部室で、
頭痛さえして来たキケロに満足気、
ルカスは笑みを浮かべている。
話があると残されて、突然その声を聞かされた。
声の主はキケロの弱みであり脅威である実力者。
エリックの他に、キケロが頭の上がらない、
数少ない人間の一人だった。
「おまえの話をしたら会いたがってな、一先ず声だけでも聞かせてやろうと」
優しい調子だったが、それは明らかな牽制で、
この圧力はキケロの闘志に火を着けた。
自分の弱みを暴き、握り、揺さぶりを掛けたこの男を屈服させる。
去り際、短く後ろでふわりと纏まった髪の下に見えた首の白さは、
キケロの素直な欲望にも訴えた。
「覚えてろよてめぇ、今にその鼻につく眼光、
根本からヘシ折ってやるからな!
そん時に俺を脅したことと笑ったこと、
必ず後悔させてやる・・・」