首(外道×貴族)【BL】
「協力しようじゃないか、ゴドーの平和のために」
「ならおまえ、俺に笑いかけてみろよ」
「・・・」
「練習だ練習、仲良くなったんだろ、俺等は」
咽喉奥、愉快のあまり零れそうな声を堪え、キケロは注文してみた。
「ああ・・・」
ふわりと暖かく見えたルカスの笑みが、キケロに妙な高揚感を起こす。
キケロの中に引っかかっていた最も、大きなものが解決したのだ。
ゴドーを悲しませることなく、ルカスを屈服させる。
「初めてみたぜ、おまえのそういう顔」
「こんな偽りの笑みで良ければいつでも披露してやるさ」
「偽りって言うな!興削がれんじゃねぇか」
「これはあくまで見せ掛けだ、調子に乗るなよ」
「くそ、うぜー」
「行くぞ、終業ベルが鳴った」
体育の時間の終了を知らせる鐘に、二人は歩き出す。
関係は相変わらずキケロに分のあるまま、停滞していたが、
二人の間、共通の友を思うため、共通の策を遂行するため、
冷たい炎は僅かに揺らぎを見せた。



< 32 / 42 >

この作品をシェア

pagetop