首(外道×貴族)【BL】
「さっさと新しいのを買ったらどうだ」
「昨日言ってた時計屋でも紹介してくれんのか」
「おまえが観測の手伝いをするならな」
「あ?」
「定期的な記録を取っている、
 この間邪魔をしてくれたおかげで、
 記録が少しぶれた」
「・・・また荷物を運び込めばいんだな?」
「ああ、観測は明々後日だ、忘れるなよ」
「・・・おう」
「ではまず時計屋か、早いほうがいいだろう、今日は部活を休もう」
「悪いな、部長さんサボらせて」
「ここのところ部員でもない連中の溜まり場になっていたしな」
「あいつらか・・・性もねぇな」
「おまえもその一人になりつつあるが?」
「エリックの奴が居るからな」
「ゴドーもな」
「・・・ってか、実際どうなんだ、あの二人、
 そんな良い仲なのかよ?」
「ゴドーはエリックに惚れている」
「そりゃ知ってる」
「・・・エリックもゴドーに惚れればいい」
「おまえ、あいつのこと愛人にすんじゃねぇのか?
 ってか、俺の質問を無視すんじゃねぇ!」
ふ、と笑みを浮かべて、怒鳴ったキケロをまるで相手にせず、
ただ探るようにやって来たルカスの、鋭く美しい視線がふいに、
キケロを少しの間固まらせ、居た溜まれぬ熱を作った。
「・・・」
「俺は、エリックの血を見ているんだよ、
 瞳の奥の遺伝子が好きなんだ、
 いつかおまえが言い当てたままさ、
 今でもあの人に縛られている、
 息子を手に入れてあの人の一部を、
 手に入れようとしている・・・」
昼の、明るさの中でも目の行く首元。
「こんな、浅はかな心で口説いているんだ、俺は、
 相手にされるわけもない」
落ち着いた声で、言い聞かすよう、
呟くルカスの肩を掴み引き寄せる。
「・・・よせ」
短い拒絶を無視してキスをした。
初めてルカスの身に欲情した時、
キケロの視覚を心地よく支配した、
この首には縄が掛かっている。


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