あんなやつ大嫌い
紫音はあくまでもきっかけを与えてくれたに過ぎない。

でもそのきっかけが、小鳥を今の小鳥にしてくれた。

そして小鳥を今の幸せに導いてくれた。

その確率は絶対で、だからこそ小鳥の中の紫音は絶対の存在になっていた。

だから、紫音がアメリカの大学に留学したことはすごくショックだったし、同時にすごく憧れていた。

「小鳥、進路悩んでるんだって?」

フライパンを熱しながら、小鳩がさりげなく言った。

「急に何!?
おねぇが私の進路を気にするなんて…
どうかしたの?」

「可愛い妹の進路よ?
気になるに決まってるじゃない。」

小鳩はからかう様子もなく、ただ自然に言った。

「…駿ちゃんに何か聞いた?」

『留学』と口走ってしまったことまで伝わっていない事を祈るしかない。

「まぁね。
三者面談、母さん行かなかったって?
昔からそうなのよね、あの人。」

小鳩の言葉に、小鳥はホッと胸を撫で下ろした。
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