あんなやつ大嫌い
夏の木が風に揺れてざわざわと鳴いている。

「はぁー…」

小鳥はブランコに揺られながら空を見上げた。

満月の月明かりが暖かい気がして、小鳥はゆっくり目を閉じた。

「何してんだ?」

頭上から声が聞こえて、目を開けると不思議そうな顔をした大将が立っていた。

「ヒロ…」

「こんな時間になにやってるんだ?」

「ヒロこそ何してるのよ?」

小鳥はブランコから降りると、不機嫌そうに言った。

「俺はランニング。
眠れなかったから公園の周りを走ってた。」

大将は小鳥の不機嫌な顔には気付かなかったようで、普通に答えた。

「そう…」

「小鳥も眠れなかったのか?」

「そんなものかな…」

小鳥が呟くと、大将は苦笑いを浮かべた。

「もう遅いぞ…」

「うん…」

歩き出した大将の後を少し離れて小鳥も歩き出した。

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