月の骨

「私はね、新月の夜に生まれたから、朔夜っていう名前になったの。」

　二人で星を見上げると、朔夜はよくそう言った。
　
　新月の夜は、人里離れた高台に行って夜通し星空を見上げていた。辺りに灯りがなく、星明かりが薄く山の輪郭を浮かび上がらせる程度の、本当に星しか見えない場所で。
　
　二人で一枚の毛布にくるまって、空を見上げると、満天の星空にため息が零れた。


　それから時々、思い出したようにぽろり、と星が流れる。