VALEN-TINE
あたしは自分の部屋に入った。
別に鍵はかけない。
だって、物騒な人なんてここにいないでしょう?
あたしは無用心。


本当に無用心。



「無用心」



あたしはそんな言葉を自分で吐き捨て、ベッドに寝転がった。


「馬鹿、引っかかった」

あははは・・・笑い転げるドアの向こうの人。

あたしはびっくりして、ベッドから落ちた。
その人はドアをゆっくりあけて、あたしに顔を見せた。

「哉・・多っ!?」


あたしは哉多を見て、ゾクッとした。
こんな・・弟を持ってしまっていたんだ?
けど、引っかかったって・・・・?
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