十五の石の物語
「大丈夫ですよ。今はまだボワの実の毒で頭がはっきりしないでしょうが、しばらくすれば、やがてそれも元に戻るでしょう。」

「……ボワの実?」

私はその名前にも実にもまるで覚えはなかった。



「そうです。あなた方は、あの実を相当たくさん食べたと見える。
ほとんど吐かせましたが、あなたは丸一日眠ってたんですよ。」

「丸一日!?……私は毒の実を……そうだったのですか。
それは大変申し訳ないことをしました。」

まだ実感のないままに、私はそう言って、再び記憶を思い出そうと意識を集中した。



「そんなことは構わないのですが……この森を案内人なしに通り抜けようとなさったのは、とても無謀なことでしたね。」

男に話しかけられ、私は記憶を辿ることを断念した。



「ここはそれほど深い森なのですか…」

「そうですね。それに、この森の道は案内人にしかわからないのです。」

「なぜです?」

「この森はたいそう暗い……星さえも見えない程ですから普通の人間はすぐに方向を失ってしまうのです。」



(……普通の人間?
おかしなことをいう男だ。
それではまるで案内人とやらが、普通の人間ではないみたいではないか…
森のことを熟知しているから特別な人間ということだろうか?)

私は男の言葉に妙な違和感を感じた。

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