わたしだけを見てほしいのに
それから1週間ほど
経った日の朝の事だった

その日、悠斗くんは
寝坊して
1本電車を乗り遅れたので
私たちは別々に登校した

教室へ着いて机に座ると同時に
仁絵ちゃんが私のところへ来た

「香乃子ちゃん、昨日ね
偶然、悠くんに会ったんだけど。」
「昨日?そうなんだ、どこで?」

昨日はうちの店の棚卸しがあり
ママに手伝いを頼まれたので
家にまっすぐ帰った日だった

悠斗くんとはメールで
やり取りをしていた

「駅前通りの雑貨屋さんに
女の子と居たの。手、つないでた。」
「・・・え?」

頭が真っ白になって
鼓動が強くなって
なんだか吐きそうな気分になる
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