- π PI Ⅱ -【BL】
ソファに寝転がって、“円周率の求め方”を開く。
なになに…
「半径 r の球の表面積: S (r) = 4 π r2」
む゛~~~…こんなこと習ったっけ??さっぱり分からん。
なんて悩んでいるとケータイが鳴った。
周かと思って慌ててケータイを手にしたが、
相手は三好だった。
三好……?珍しいな、どうしたんだろ…
不思議に思いながらも通話ボタンを押した。
「はい」
『あ、桐ヶ谷?俺~。何してる?ってかお前はデート中かぁ』
三好の声に間違いはないが、何か……喋り方がいつもより軽い…
「相手が急に仕事入ってデートはキャンセル。俺は今一人。どーしたんだよ。お前今頃合コンだろ?ってか酔ってる?」
ははっ、と三好は乾いた笑い声を上げた。
『何だよ、ドタキャンか??可哀想なヤツ』
「うっせぇな。俺の質問に答えろよ」
『合コン中~。でも帰ろうかと思ってさ』
「何で?いい子居なかったのか?」
『………みんな可愛いんだけど…うーん…何か……違うって言うか…』
三好は言葉を詰まらせた。
「違うって何が」
三好が何を伝えたいのか分からず頭に?マークを浮かべていると、
『……桐ヶ谷…俺……さ……』
と電話の向こうで三好が息を飲む気配があった。