- π PI Ⅱ -【BL】
捜査線上…?重要参考人??
「はぁ!?あいつが!」
周の言葉に俺は頓狂な声を上げた。
あまりに現実離れしたその言葉に、びっくりし過ぎて笑い出したいぐらいだ。
だが周の表情はぴくりとも動かない。ふざけて言ってるわけじゃなさそうだった。
「何であいつが!」
「被害者の共通点が見つかった。全員、三好の出入りしている営業先の男たちだ」
「三好の営業先…」
俺は三好の営業内容をあまり知らない。それでも懸命に頭の中で思い浮かべる。
「お前も知ってるだろ?あいつの営業先の一部に私立の高校や、大学があるってことを」
「……ああ…思い出した…けど、それだけで結びつけるのはおかしいよ。そんなのうちだけじゃなく他社だって出入りしてる」
「もちろんそれだけじゃないさ。犯行現場はどれも三好のアパートの半径2km圏内だし、最後の酔っ払った学生を襲った件については、被害者が三好が行き着けにしている店からの帰り道だった」
「そん……な…」
俺の頭の中がだんだんと白くなっていくのを感じた。
嘘だろ……
「でも三好は……あいつは、ゲイじゃない」
俺の独り言に近い言葉に、周はちらりとこっちを見て、すぐに視線を前に戻した。
「ああ。あいつは間違いなくノンケだ」
「じゃぁ……!」
俺が声を上げると、周は乱暴な手付きで急ハンドルを切った。
シートベルトが肩に食い込み、顔をしかめると
いつのまにか周のマンションの前だった。
「まだ分からないのか。あいつは男が好きなわけじゃない。
お前が……ヒロが好きなんだよ!」