Hamal -夜明け前のゆくえ-
*
中学校は異世界みたいだ。
正門をくぐると外界と隔離された場所にいるような気になる。だから学校は嫌いじゃない。
ただ、どんな風に過ごせばいいのかわからなくなってしまった。
怪我をするたび休んでいるから、心なしかクラスメイトとも距離がある。
下駄箱を清掃した脚で中庭に来た僕は校舎の外壁に寄りかかり、ぼんやりと流れる雲を眺めていた。
もう少し経てば、帰れる。
まだ青い空や白い雲と戯れるように、校舎からは生徒のはしゃぎ声や足音が響く。
被っていたフードを引っ張るも、新しいパーカーのそれは以前のものより小ぶりで、目深に被ることができなかった。
小学生のころの自分はもう少し活発だった気がする。
友達が多いほうじゃなかったけど、それなりに――。
「……っ!?」
サバッと頭から水を被る。
なにが起きたのかわからず、滴る水からかすかに異臭がしたことに加え、「うわっ!」と頭上から声が聞こえたことで我に返った。
「バカお前、なにやってんだよ!」
「だって誰もいねーと思って……っごめん! ほんっとごめん! 濡れた!?」
校舎を振り仰ぐと、2階の窓からふたりの男子が顔を出していた。内ひとりが持っている水色のポリバケツに、やっと状況を理解する。