Hamal -夜明け前のゆくえ-




中学校は異世界みたいだ。


正門をくぐると外界と隔離された場所にいるような気になる。だから学校は嫌いじゃない。


ただ、どんな風に過ごせばいいのかわからなくなってしまった。


怪我をするたび休んでいるから、心なしかクラスメイトとも距離がある。


下駄箱を清掃した脚で中庭に来た僕は校舎の外壁に寄りかかり、ぼんやりと流れる雲を眺めていた。


もう少し経てば、帰れる。


まだ青い空や白い雲と戯れるように、校舎からは生徒のはしゃぎ声や足音が響く。


被っていたフードを引っ張るも、新しいパーカーのそれは以前のものより小ぶりで、目深に被ることができなかった。


小学生のころの自分はもう少し活発だった気がする。


友達が多いほうじゃなかったけど、それなりに――。


「……っ!?」


サバッと頭から水を被る。


なにが起きたのかわからず、滴る水からかすかに異臭がしたことに加え、「うわっ!」と頭上から声が聞こえたことで我に返った。


「バカお前、なにやってんだよ!」

「だって誰もいねーと思って……っごめん! ほんっとごめん! 濡れた!?」


校舎を振り仰ぐと、2階の窓からふたりの男子が顔を出していた。内ひとりが持っている水色のポリバケツに、やっと状況を理解する。

< 62 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop