さあ、俺と秘密をはじめよう


隣のクラス―――いじめなんてただ事じゃないな。

俺は壁の向こうにある隣のクラスを見つめた。


「どうしたんですかー?陽君」

「いや、ちょっとな」

「もう席に着いた方がいいですよー。うちの担任うるさいですから」

そう了に言われ、俺たちは席に着いたと同時に担任が入ってきた。

(了の言った通りだ。本当に来たぜ…)


担任が教卓につき、点呼をとりSHRを始める。

「今日の1限目の体育はD組と合同だから、皆遅くれるんじゃないぞ!」

そう先生は言い残し、教室から出た。

女子の生徒は皆、ジャージを持って女子更衣室へと教室から出た。

残された男子は教室でジャージに着替える。


「あれ?」

俺はかばんの中を見る。

「陽、どうした?」

右隣の席の昌太が尋ねる。

「いや、今朝持ってきたと思ったジャージを忘れてきた」

「それはご愁傷様です」

前の席にいた了がからかいまじりに残念そうに言ってきた。

「誰か替え持ってきてない?」

「俺は持ってきてないですねー」

「同じく。尚弥は持ってきてるじゃないのか?」

昌太は尚弥に声をかける。

「あー、今日は持ってくんの忘れた」

尚弥は頭を掻きながら、悪いなーと苦そうな顔をする。

(尚弥も持ってきてないとすると…)

家までとりに帰る事になるが1限の体育が始まるまで時間がない。

なので結論、サボることに決めた。

「俺、1限サボるわー。ジャージねーし」

「そうか。じゃあ体育の山田に伝えておく」

「そのままんま、伝えておかないでくれよ」

と苦笑する俺。





< 54 / 221 >

この作品をシェア

pagetop