さあ、俺と秘密をはじめよう
駆け足であの場から逃げていたから息が上がった。
「はあ…はあ…」
少しずつ呼吸を整える。
大分、呼吸が落ち着きを取り戻した。
屋上に来ても何もすることはないけど今、あの場所に戻ったらまた厄介なことになりそうだ。
(しばらく、ここで時間をつぶそう…)
私はただそこはかとなく、フェンスの向こう側にある街を見つめた。
その光景はなんとも綺麗で広大で表現のしようがないほど私には衝撃的でより自分は空っぽなのだと痛感されられた。
そして、無性に歌いたくなった。
このどこまでも広く続いている―――無常な世界に向かって―――。
幸いにも人はいなさそうだし、閑散としているから歌っても大丈夫だろうと深呼吸し私は歌いだした。
私の本当の気持ちを感情をこの歌にぶつけて―――。
星でもなく、この私の歌。
私だけの歌を――――。
「♪咲いたー 華は あでやかに―――
ねえ どうか 教えて
人は 何故 傷つけあって 争いあうの?
そこから 得るものは何だろうか――――――♪」