幸せの作り方
今まで保たれていた心地良い空間が一気に奪われ、何とも言えない生ぬるい空気が肌に触れる。
それに重なるようにして、マシンガンみたいに話す母の一方的な耳障りな声。
目覚めの良い朝とは到底かけ離れた朝だ。
「早く着替えないと」
この人は、早くという言葉しか知らないのだろうか。
せっかちな性格は、口癖にまであらわれるものなのか。
いそいそと洋服を広げる母をよそに、私はそんなことを考えていた。