幸せの作り方
だから、今は1日の大半を電動車椅子で過ごしている。
そんな私も小さな頃は、壁づたいに歩いていたらしいけれども。
幼すぎてその記憶はないが、タンスの奥にしまわれた古いアルバムにそのことがきちんと刻まれていた。
「あとから行く」
母にそう伝えると、散らかっているポーチの中からピンク色の鏡を出してテーブルの上に立てメイクを始める。
筋力低下を除けば、何ら変わりのない普通の女の子なのだ。
知能や感覚に影響がないのが、この病気の特徴でもある。