スピカ
「雅……」
急に声色が深刻になった。
視線をそっと動かしてみると、大きな瞳があたしを捉えていた。唇の動きが、あたしの気を引き付ける。
「……?」
解散、とマイクを通さない声が前の方から聞こえた。全くと言っていいほど話を聞いていなかった生徒達も、その4文字だけはしっかり受け取る事が出来るらしい。
話し声が疎らだった体育館に、スリッパや笑い声が響き始める。動き始めた人波が、同じ場所を目指していて、何だか気持ち悪い。
人間のくせに、人間って機械的だから。
やっとあたしから離れた視線に、生温い汗が額にじわりと滲み出た。
動き出した周りに合わせて、あたし達も気怠い足を動かす。2つしかない出入口なのだから、早く列が進むはずもないのに。
分かっていながらも、イライラする。
「……ないよ」
雑音の中に小さく声を零すと、横にいた亞未はぎゅっと鞄を握り締めた。携帯を確認する仕種がわざとらしくて。
だけど、聞き漏らすフリをしてくれて良かったのかもしれない。
“洋君と付き合う気、ある?”
ないよ、今の所はね。
冷めたあたしが、小さくそう答えた。
急に声色が深刻になった。
視線をそっと動かしてみると、大きな瞳があたしを捉えていた。唇の動きが、あたしの気を引き付ける。
「……?」
解散、とマイクを通さない声が前の方から聞こえた。全くと言っていいほど話を聞いていなかった生徒達も、その4文字だけはしっかり受け取る事が出来るらしい。
話し声が疎らだった体育館に、スリッパや笑い声が響き始める。動き始めた人波が、同じ場所を目指していて、何だか気持ち悪い。
人間のくせに、人間って機械的だから。
やっとあたしから離れた視線に、生温い汗が額にじわりと滲み出た。
動き出した周りに合わせて、あたし達も気怠い足を動かす。2つしかない出入口なのだから、早く列が進むはずもないのに。
分かっていながらも、イライラする。
「……ないよ」
雑音の中に小さく声を零すと、横にいた亞未はぎゅっと鞄を握り締めた。携帯を確認する仕種がわざとらしくて。
だけど、聞き漏らすフリをしてくれて良かったのかもしれない。
“洋君と付き合う気、ある?”
ないよ、今の所はね。
冷めたあたしが、小さくそう答えた。