断崖のアイ
「ならば、この次元における『救い』は必要であり、必然的なものです」

「何が言いたい」

 掴めない話にベリルは顔をしかめる。

「あなたは命は軽いと言った。だからこそ扱いは困難なのだと……。大切だから重いのではない、大切だからこそ軽いものもあるのだと」

 その言葉にベリルは眉間のしわを深くした。

 青年の瞳の輝きは、記憶にある幼さを微塵も感じさせず、2人の間にどこかしら隔たりがあるように思われた。

「あなたは、あなたを捕らえようとしている彼らの命までをも護ろうとしている」

 何故そこまでするのか、どうしてそれを成せるのか。

 その意志の強さはどこから来るのか──?

「あなたはあなたでしかない。わたしがいくら考えようとも、あなたに追いつけるはずもなかった」

 同じ世界にいようとも、眼前に拡がる景色はあまりにも違いすぎる。
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