断崖のアイ
「あなたは人の生きる意味となり得る存在だ」

「何を言っている」

 ベリルはふと、カーティスを思い出す。

 今のユーリは、まさにあの時に見たカーティスと同じ瞳をしていた。

「何があった」

 ユーリは、ゆっくりとそう問いかけてきたエメラルドの瞳を見つめる。

「ヴァチカンに戻ったあと、わたしは隠されている事実を探りました。あらゆる手段を用いて──」

 そして、『U n G』によってどれほどの命が絶たれていたかを知りました。

「人は正義の名のもとには犠牲をいとわない。わたしもそうです。否、そうでした」

 犠牲なくしては何ものも成し得る事など出来はしない。

「しかし、わたしは解らなくなった。仇なす前に強制的に捕らえることがいいのかどうか」

 あなたのように命を尊び、護ろうとする者がいる。その自由を奪うことが果たして善いことなのか。

 一方的な行為に正しさがあるのだろうか。
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