断崖のアイ
「あなたを護る最善の方法なのです。これで力の均衡を保つことが出来る」

「馬鹿な!」

 あらゆるもの全て、家族をも捨て去るというのか!?

「あなたの存在は、こうは考えられないでしょうか」

 善くも悪くも、人の行先(ゆきさき)を定める者──確たる存在の前に、人間はどう動くのか。

 その歩む道を神は常に眺めている。

「あなたを護ることは、彼らを護ることにもなるのです」

「何故そうなる」

「神のものであるあなたを幽閉すれば、神の怒りに触れるかもしれない」

「お前は己をいかなる者だと考えているのだ」

「それはあなたもではありませんか」

「なに?」

「あなたは、どこまで自分のことを自覚していますか?  自身の認識と真実が同じとは限らない。それはあなたも十分に知っていることでしょう」

わたしの見たあなたは、あなた自身が考えている存在とは異なる。
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