彼女はきっと振り向かない



あの日、泣きじゃくる彼女に俺は何もできなかった。

ただただ抱きしめることしか。



授業なんてまともに聞いてられる心境でもない。





「戻れよ。お前、単位・・・「へいへい」



あいつが泣いたのは、お前が原因だよ、なんて一瞬でも思った俺は最低だ。


別に廉が悪いわけじゃない。




「なんかあったのか?」



「は?」



「お前が屋上来て寝ずに、考え事なんて普通じゃねえよ」


はは。たしかに・・・。



「あー・・・まあ、そろそろ将来やべえなって」


「だったら、授業出ろよ」


今ので誤魔化せたとは思えない。廉は妙に勘が鋭いから。


いつか・・・廉に打ち明けられる日が来るんだろうか・・・。



< 67 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop