あなたたちは私の宝物
心と体の苦痛
お腹に赤ちゃんが居ると思えば
自然に顔が笑顔になっていく自分がいた

でも次に頭に浮かぶのはママの顔だったから
喜んでばかりはいない

もしもこのままママが許してくれなかったら
この子はどうなってしまうんだろうと
不安がどんどん押し寄せてくる

そんな喜びと不安で押し潰されそうな中で
約束の日曜日を迎えた

朝からどうしても起きあがるのが辛い

きっと頭の中がそうさせていたに違いない

ママに会いにいく

ただそれだけで気持ちが重くなってしまうんだ

化粧をするのにも時間がかかってしまう

わかっているはずなのに体が動かないまま

現実逃避したくなる

それでもようやく車で家へとやってきていた

ふーっと息を吐き出して玄関の扉を開けていた

『ただいま』

玄関まで出てきたママに目を合わせずに呟いた

『今日は何?』

居間で向かい合ってママが最初に言った

『病院に行ってきたの。
8週に入ったとこで順調に育ってるって』

『それで?』

『アキと結婚する事をどうか許して下さい。
順番が違ってしまって本当にすみません。
でもアキと結婚したい気持ちは本当です』

『バカな事言わないで。
子供は堕ろせって言ってるじゃないの』

ママは怒っていた
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