あなたたちは私の宝物
重い空気が私とマサを暗く包んでいた

『どうしてママは私を理解してくれようと
しないんだろう』

また泣きそうになる私

『ゆっくり理解してもらうように頑張ろう。
俺たちは幸せになれるっていつかわかって
くれる日が来るはず』

『うん、ありがと。今は仕方ないのかな』

『とりあえず、子供が堕ろせなくなる時期まで黙ってる事にしよう』

『うん、それがいいね』

結局はそんな結論

ママには何を言っても聞いてなんかくれない

『じゃあ、こっちの市役所に母子手帳を
もらいに行こうか』

『うん。仕方ないね』

そう言って市役所へ向かう事にした

病院からもらった書類を市役所へ提出すると
なぜここの市役所へ来たのか理由を聞かれた

私は小さな声で

『入籍がまだなので
私の住所がここの市にあるからなんですけど』

と答えた

『そうですか…』

それだけを言って市役所の職員の人は
母子手帳を用意する手続きを取り始めた

これからも複雑な事が起こりそうな気がする

前途多難だよ、これは

でも、赤ちゃんを守るのは私だから

真新しい母子手帳を受け取って
母親になる実感を感じていた

母子手帳をギュッと握り締めていた
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