あなたたちは私の宝物
何事もないまま、入院の日を迎えてしまった

家で陣痛が来て、おしるしが来て…なんていうマニュアル通りのお産にはならなかった

ドキドキして、その日を待っていたのに

私の入院は、予定されている事のはずなのに
私の入院する部屋が無かった

産婦人科の入院病棟は混んでいて
個室も普通部屋も空いてはいなかった

私が入院したのは、陣痛室と呼ばれる部屋

ベッドが3つほど並んでいた

入院部屋ではないので、テレビもない

とにかく何もかもが、予定外だった

看護士さんが、気を遣ってくれて
ラジカセを持ってきてくれていた

部屋にはラジオが流れていた

入院の翌日にはママが来てくれた

動くと、赤ちゃんは出てくるんだよと言って
一緒に出かける事を提案してくれた

病院の近くにデパートがあったので
そこまで一緒に歩く事にした

途中で何かあったとしても、ママが一緒なら
大丈夫だと思えたから

3月のわりに、暖かい日で、お散歩日和だった

デパートのベビー用品コーナーを見て歩いた

ママは、ベビー服を買ってくれた

男の子用に青いベビー服

それと、帽子とミトン

そして、何より、私の産後のお腹を締める
ガードルを買ってくれた

笑いながら青空の下をゆっくり歩いた

とても楽しかった

ママが居てくれて、本当に良かった

最初はこんな日が来るなんて思えなかったけど
これが現実だと思うと嬉しかった
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