ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「――あ、相手は?」

 そこで再び父親が口ごもり、バツの悪そうな表情を作って見せた。しかし、純の視線は容赦なく父親を突きさす。

「純が知って居る女性だ」

「俺が……知ってる?」

 父親は上目遣いに純を見上げる。

「茜君だ……」

 その言葉で純の思考は急停止、父親の顔を改めて見詰めた。

「――あ……茜さん?」

「そうだ」

茜さんは、はっきりした事は分らないが、おそらく二十代後半と思われた。それに対して父親は還暦に近い年齢だ。

「あの、あ……の…」

何をどう突っ込んで良いのか純は分らずに途方に暮れた。

「どうだ、純……」
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