ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「純の気持ちは分る。私もそれなりに悩んだのだよ」

父親は純の瞳をじっと見詰めて、呟く様にそう言った。その気持ちは純にも痛いほど良く分る。

少なくと反対をする理由は純の心の中では思いつかなかった。

それに、全く知らない人物でも無い。更に茜の飾らない性格を純は好きと追って居た。

たぶん、親子と言うよりは兄弟と言う関係になりそうな気がした。

「分ってるよ、親父。好きにすればいいよ。俺は異存はない」

純はそう言って少し情けない父親の瞳を覗き込む様にしながらも、少し羨ましいと言う感情が抑えきれず湧き上がる笑顔を押し殺す事は無かった。

          ★
 「しのぶ……」

純は雑草の迷路の中で迷子になった。しのぶの後姿を追いかけて居た筈なのに彼女は突然、純の視界から消えて無くなったのだ。

その途端に純の心に焦りが走る。それに、さっきからしのぶを追いかけて居るのだが、捕まえようとすると、しのぶは純の腕をするりと抜けて、迷路の中を走り去るのだ。
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