空しか、見えない
「あらよかった。幾らでも、お代わりしてねー。遠泳の仲間たちなんでしょう?」

 純一も、頷きながら口にする。

「ほんと、うまいなあ」

「うちのはね、大根が入ってるの。ほら、この辺りは野菜もよく穫れるから。昔はね、うちら泳ぎに行くときは、畑のトマトをもいで行ったのよー。それを海にぷかぷか浮かべて泳いで、喉が乾くと食べるわけ。今なら汚いって言われそうだけど、海もきれいだったもん」

 エプロンのポケットに手を入れて話すおばさんに、環はさっそくお代わりを頼む。
 身長が180をゆうに超える環の体には、カレーなんて何杯も入っていきそうだ。
< 101 / 700 >

この作品をシェア

pagetop