空しか、見えない
 ツイッター上には、すぐに近隣の海の遊泳情報が伝えられる。外房にいたはずの義朝も、その日、午後になって岩井へと移ったひとりだった。

「俺、この海、知ってるんだ。懐かしくてさ、もう泣きそう」

 同僚の車から降りて身支度を始めたとき、義朝はそう言っていた、と葬儀のときに聞かされた。
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