空しか、見えない
「サセには連絡もせずに、悪かった」

 顔を上げたのぞむにまっすぐにそう呼びかけられたとき、佐千子も思わず視線を合わせてしまった。のぞむの瞳がこちらに向かって揺れている。こんな大人びた顔ではなかったはずだ。無精髭が生えている。少し首を斜めに傾け、優しそうに微笑んでいる。
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