空しか、見えない
 しばらく誰もが押し黙ってしまった。一番はじめに、「いいよ」と、囁くように答えてくれたのは、のぞむだった。どこか自信なげにも見えた。
「だったら俺、夏までに腹引っ込めなきゃ」とも、おどけてみせた。

「純一とマリカにも連絡しようぜ」

 環も、そう続いた。

「まじ、できます?」

 両手の平を宙に向けたのは千夏だったが、満更でもないような顔をしていた。
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