空しか、見えない
「暇人だね。サチさ、会社であれ仕上げたんでしょ?」

 ほとんどの部分は昨夜のうちに家で仕上げた。会社で書いたのは、残りのわずかな部分だ。ほとんど寝ずに会社へ向かったのだが、「あれ、野上さん、今日はなんだか元気いいね」と、部長からは褒められた。

「そういうの、いいのかよ。自分の遊びと、会社の仕事を一緒にするのさ。サチらしくない」

 佐千子は、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、少し口をつけた。
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