空しか、見えない
「わかったけど、何か嫌な部分でもあった?」

「そんなことは言ってないだろう? たださ、サチには、新聞記者としてプロフェッショナルでいてほしいね」

「別に、これでも会社じゃちゃんとやってるつもりですけど」

「業務時間中に、仲間たちの新聞作ってか? 脇が甘いって言いたかったんだよ」

 社員5人しかいない社内の様子を思い起こしていた。毎日、のんびりと過ぎていくのだ。朝は佐千子がみんなのコーヒーを入れる。業界内のニュースがないか、それぞれの担当企業から送られて来るメールをチェックする。ニュースがあったとしても、せいぜい業績の良し悪しだったり、新製品の発表くらいだ。各企業の広報担当とも、それぞれ顔見知りの間柄である。
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