空しか、見えない
「やめようよ。のぞむ、今頃、入院してるんだもん。本当は私たちには言いたくなかったんだと思うよ。彼が書いてきたメールは、ほら、ちゃんと新聞に載るのを意識して書いてくれてるでしょ?」

 佐千子はそう言うと、自分の顔が赤らむのを感じた。
 純一と千夏が、その文章を読む。千夏は、ふんと鼻を鳴らす。
 純一は、微かに首を傾げ、こちらを覗き込んできた。

「ねえサセ、もう自分の中に答えはできてるんじゃないの? どうあれ、少しルーとやり取りしてみたらいいじゃない。腹を割ってさ」
< 441 / 700 >

この作品をシェア

pagetop