空しか、見えない
 葬儀には間に合わなかったが、せめて義朝の家へ行って、仏壇には手を合わせたいのだそうだ。義朝とのぞむは、中学高校時代は、互いの家を行ったり来たりして泊まり合った仲だった。
 明日からの岩井海岸行きも伝えたのだが、のぞむは、まだ迷っているらしい。きっと、佐千子の心情を計りかねているのだろう。
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