空しか、見えない
 ハッチのメンバーは、それぞれどんな風にやって来るだろうかと想像する。
 千夏からは、珍しいことに、どの電車に乗るかという問い合わせすらなかった。いつもなら、何かと自分に頼ってくるはずなのだが、どうするつもりなのだろう。
 車内は、家族連れやカップルで多少混み合っていたが、ひとりなので、何とか座席に座れた。さっそく読みかけの小説を開くが、心が上擦って、なかなか文字に集中できない。
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