空しか、見えない
佐千子は、高校の頃から新聞記者志望だった。大学の入学とほぼ同時に就職戦線は始まっている、先輩たちからそう吹き込まれ、自分なりに奮闘した。説明会と聞けば地方へも足を運び、エントリーシートを出し、論文も提出した。けれど、佐千子に内定をくれたのは、社員5人のマイナーな業界新聞だけだった。
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