空しか、見えない
 さっそくバッグからペンを取り出して、名前のところに書いた。

〈3A(30) 野上佐千子〉

「あ、そう書いちゃう?」

「せっかくだもん、こうじゃない?」

 マリカの問いに、佐千子は頷く。

「腹減ってきたと思わない?」

 環は、みんなの様子に照れているのか、スマートフォンの画面を確認している。

「ガス欠だよ。先に、少し何か腹に入れとこうか」

 そう言うのだから、千夏からは、まだ連絡がないのだろう。
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