空しか、見えない
 カウンターの中で編み物をしているおばさんに頼んでみると、メニューは、スパゲティナポリタンか、カレーライスのみ。

「それはもう、カレーでしょう。岩井なんだからね」

 純一は、岩井海岸で食べた食事をよく覚えていた。

「泳ぐ前の晩は、バーベキューで、泳いだ後はカレーだったよね」

「私が覚えているのはね、泳いだ後に海岸で、甘い麦茶をもらったの。あれ
が、すごくおいしく感じたんだな」

 マリカが、そこにある水のグラスを両手に持ちながら、そう回顧する。
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