フィレンツェの恋人~L'amore vero~
――大丈夫よ。魔女はこの中には入って来れないの。絶対にね
テディベアはふわふわやわらかくて、少しだけママの匂いがした。
――だから、お外へは出ないってママと約束できる?
――できる!
そこは古い古いボロの教会で、だけど、陽射しがたっぷり入ってきたから明るかった。
私とママの他は誰も居なかった。
――実花子はおりこうさんね
そう言って、ママは私の泣きぼくろを撫でてくれた。
ママと同じ場所にある、ほくろ。
――じゃあ、ママ行くね
ママは笑っているのに、とっても苦しそうな顔をしていた。
カツカツ、カツカツ、足音が遠ざかって行く。
――ママ……ママー!
ものすごく、嫌な予感がした。
――まって! ママ!
私はテディベアを抱きしめたまま椅子からぽーんと降りて、走った。
――みかこもいく! ママといっしょにいく!
そして、ママの細くて長い脚に抱きついた。
だって、もう、ママとは会えない気がしたから。
――どうしてママのいうことが聞けないの! 実花子は悪い子ね!
ママを見上げて、背中がぞくっとした。
――離しなさい!
――……あーっ!
おしりが痛かった。
私は固くてぴかぴか光る冷たい床に叩きつけられた。
ママが私をすごく強い力で、床に振り落したから。
――いうことを聞けない子は、悪い子よ!
ママの目は、とても恐ろしかった。
――実花子は悪い子!
ごめんなさい、ママ。
みかこ、いうことをきくから。
まってるから、だから、おこらないで。
みかこをきらいにならないで。
カツ、とママの靴音が響いて反響した。
――ママ……ママ! ママ!
みっつ、ママを呼んだ時、ギギギイと大きなドアを開けたママが振り向いた。
テディベアはふわふわやわらかくて、少しだけママの匂いがした。
――だから、お外へは出ないってママと約束できる?
――できる!
そこは古い古いボロの教会で、だけど、陽射しがたっぷり入ってきたから明るかった。
私とママの他は誰も居なかった。
――実花子はおりこうさんね
そう言って、ママは私の泣きぼくろを撫でてくれた。
ママと同じ場所にある、ほくろ。
――じゃあ、ママ行くね
ママは笑っているのに、とっても苦しそうな顔をしていた。
カツカツ、カツカツ、足音が遠ざかって行く。
――ママ……ママー!
ものすごく、嫌な予感がした。
――まって! ママ!
私はテディベアを抱きしめたまま椅子からぽーんと降りて、走った。
――みかこもいく! ママといっしょにいく!
そして、ママの細くて長い脚に抱きついた。
だって、もう、ママとは会えない気がしたから。
――どうしてママのいうことが聞けないの! 実花子は悪い子ね!
ママを見上げて、背中がぞくっとした。
――離しなさい!
――……あーっ!
おしりが痛かった。
私は固くてぴかぴか光る冷たい床に叩きつけられた。
ママが私をすごく強い力で、床に振り落したから。
――いうことを聞けない子は、悪い子よ!
ママの目は、とても恐ろしかった。
――実花子は悪い子!
ごめんなさい、ママ。
みかこ、いうことをきくから。
まってるから、だから、おこらないで。
みかこをきらいにならないで。
カツ、とママの靴音が響いて反響した。
――ママ……ママ! ママ!
みっつ、ママを呼んだ時、ギギギイと大きなドアを開けたママが振り向いた。