フィレンツェの恋人~L'amore vero~
ハルは一体、何をしているのだろうか。
画面を埋め尽くす文字や数字は一体……。
ぐるぐる、目が回りそうだ。
usb本体に、何かが書かれてある。
「T、K、G……os……」
それが何を意味するのかなど、分からない。
でも、手に不快な汗を握っていた。
ハルは一体、何をしようとしているのだろう。
眉を寄せて画面を流れる文字を見つめていると、
「東子さん」
冷たく突き刺さるような感情の無いその声に、心臓が飛び跳ねた。
振り向くと、ハルが立っていた。
ソープの香りと、エキゾチックな声が降ってくる。
「何をしているの」
ぞっとした。
「あの……ハル……」
「何を、しているの」
暗い空間に、ハルの真っ白な歯が不気味に浮かび上がる。
ぱさり、とバスタオルを落としてニタ……とハルが口角を上げた。
殺されるかもしれない。
そう思ったわけではないけれど、それと良く似た恐怖のようなものが背筋を這った。
「ハル、違うのよ……」
「ああ、いいんだよ。どうせ、見たって東子さんには分からないだろうからね。ぼくは怒らないよ」
「……違うのよ」
見るつもりはなかったのだと説明したいのに、ハルの表情がこの世のものとは思えないほど奇怪で、喉に声が引っかかる。
ぬらりと立ち、私を見下ろすその目は妖気漂うような薄気味悪さだった。
お風呂上りのハルの髪の毛はつやつやと黒光りしている。
ハルが薄笑いを浮かべながら言った。
「いいんだよ、本当に。どうせ、東子さんには理解できないのだから」
私は、やはり、ハルの事を何も知らないのだ。
朝の子供のように無邪気なハル、夜の大人びた色気のあるハル。
私が知る限りのこの子は、おそらく偽物ではないだろうか。
「さあ、どいてくれ」
やわらかな口調で言いながら、ハルは私の腕を乱暴に掴んだ。
皮膚を貫通して、骨が軋むような強さだった。
「立って!」
大きな声を出して、ハルが攻撃的な目で睨んで来る。
私が立ち上がると、今度は暴力的な目で睨んだ後、冷血に言った。
「一人にしてくれないか。あと少しで終わるんだ」
「終わるっ、って……」
「終わるものは終わるんだ!」
心臓が止まるのかと思った。
どっしりと座ったハルの目が、私を硬直させた。
画面を埋め尽くす文字や数字は一体……。
ぐるぐる、目が回りそうだ。
usb本体に、何かが書かれてある。
「T、K、G……os……」
それが何を意味するのかなど、分からない。
でも、手に不快な汗を握っていた。
ハルは一体、何をしようとしているのだろう。
眉を寄せて画面を流れる文字を見つめていると、
「東子さん」
冷たく突き刺さるような感情の無いその声に、心臓が飛び跳ねた。
振り向くと、ハルが立っていた。
ソープの香りと、エキゾチックな声が降ってくる。
「何をしているの」
ぞっとした。
「あの……ハル……」
「何を、しているの」
暗い空間に、ハルの真っ白な歯が不気味に浮かび上がる。
ぱさり、とバスタオルを落としてニタ……とハルが口角を上げた。
殺されるかもしれない。
そう思ったわけではないけれど、それと良く似た恐怖のようなものが背筋を這った。
「ハル、違うのよ……」
「ああ、いいんだよ。どうせ、見たって東子さんには分からないだろうからね。ぼくは怒らないよ」
「……違うのよ」
見るつもりはなかったのだと説明したいのに、ハルの表情がこの世のものとは思えないほど奇怪で、喉に声が引っかかる。
ぬらりと立ち、私を見下ろすその目は妖気漂うような薄気味悪さだった。
お風呂上りのハルの髪の毛はつやつやと黒光りしている。
ハルが薄笑いを浮かべながら言った。
「いいんだよ、本当に。どうせ、東子さんには理解できないのだから」
私は、やはり、ハルの事を何も知らないのだ。
朝の子供のように無邪気なハル、夜の大人びた色気のあるハル。
私が知る限りのこの子は、おそらく偽物ではないだろうか。
「さあ、どいてくれ」
やわらかな口調で言いながら、ハルは私の腕を乱暴に掴んだ。
皮膚を貫通して、骨が軋むような強さだった。
「立って!」
大きな声を出して、ハルが攻撃的な目で睨んで来る。
私が立ち上がると、今度は暴力的な目で睨んだ後、冷血に言った。
「一人にしてくれないか。あと少しで終わるんだ」
「終わるっ、って……」
「終わるものは終わるんだ!」
心臓が止まるのかと思った。
どっしりと座ったハルの目が、私を硬直させた。