フィレンツェの恋人~L'amore vero~
始めは戸惑いたっぷりに、あまりにもぎこちなくて。
触れたのか、触れていないのか判別できないような。
私とハルの、初めての接触だった。
一度唇を離してそっと目を開けると、
「東子さんは……ぼくを許してくれる?」
ハルが囁いた。
その声は儚くて、今にも消えてしまいそうなものだった。
ハルの脅えたようなその声と、潤んだエキゾチックな瞳に、私は反応することができなかった。
「Sono un criminale(ぼくは、犯罪者なんだ)」
「え?」
「そして、東子さん。あなたもだ」
ハルの人差し指がそっと、私の顎を持ち上げる。
「ぼくを、許してくれる?」
ハルの親指が、私の下唇をつつとなぞった。
再び、ハルの唇が落ちて来る。
「東子さん」
触れる寸前、ハルが囁いた。
「Mi hai ur bato il coure……(あなたは、ぼくの心を奪った)」
その声はどんな声優よりも色っぽくて、全身がぞくぞくした。
何と言ったのか。
ハルが口にした言葉の意味は理解できないのに、その甘く切なげな低い声に、体が硬直した。
今、何を? 、と聞こうと思った時にはもう、唇を塞がれていた。
呼吸困難にでもなりそうな程の強いキスを、私は全身で受け止めていた。
頭がぼんやりと霞んで、何も考えられなくなってくる。
くらくらした。
このままでは、窒息してしまいそうだ。
ついばむようなキスを繰り返した後、いったん唇が離れて、ハルが言った。
「なぜ、拒まないの?」
それも、囁くような言い方で、だから、私も囁くように答えた。
「……分からないの」
確かに、拒もうと思えばそれは簡単にできたはずだった。
でも、なぜ受け止めたのか、見当もつかなかった。
本当に分からない。
なぜなのか、必死に考えようと努力はしているのだけれど、それができない。
「ごめんなさい。東子さん」
「なぜ、謝るの?」
触れたのか、触れていないのか判別できないような。
私とハルの、初めての接触だった。
一度唇を離してそっと目を開けると、
「東子さんは……ぼくを許してくれる?」
ハルが囁いた。
その声は儚くて、今にも消えてしまいそうなものだった。
ハルの脅えたようなその声と、潤んだエキゾチックな瞳に、私は反応することができなかった。
「Sono un criminale(ぼくは、犯罪者なんだ)」
「え?」
「そして、東子さん。あなたもだ」
ハルの人差し指がそっと、私の顎を持ち上げる。
「ぼくを、許してくれる?」
ハルの親指が、私の下唇をつつとなぞった。
再び、ハルの唇が落ちて来る。
「東子さん」
触れる寸前、ハルが囁いた。
「Mi hai ur bato il coure……(あなたは、ぼくの心を奪った)」
その声はどんな声優よりも色っぽくて、全身がぞくぞくした。
何と言ったのか。
ハルが口にした言葉の意味は理解できないのに、その甘く切なげな低い声に、体が硬直した。
今、何を? 、と聞こうと思った時にはもう、唇を塞がれていた。
呼吸困難にでもなりそうな程の強いキスを、私は全身で受け止めていた。
頭がぼんやりと霞んで、何も考えられなくなってくる。
くらくらした。
このままでは、窒息してしまいそうだ。
ついばむようなキスを繰り返した後、いったん唇が離れて、ハルが言った。
「なぜ、拒まないの?」
それも、囁くような言い方で、だから、私も囁くように答えた。
「……分からないの」
確かに、拒もうと思えばそれは簡単にできたはずだった。
でも、なぜ受け止めたのか、見当もつかなかった。
本当に分からない。
なぜなのか、必死に考えようと努力はしているのだけれど、それができない。
「ごめんなさい。東子さん」
「なぜ、謝るの?」