フィレンツェの恋人~L'amore vero~
「Solitaire prince (孤独な王子)」
その細くて綺麗な人差し指が真横にずれて、私を指さした。
「Solitaire reine (孤独な王女)」
これもまた、何かの縁ね。
そう言って、ジョゼットは私たちに言った。
「Les gars,vous mei lleur couple (あなたたち、最高にお似合いよ)」
先に帰っているわね、と踵を返したジョゼットを、
「Wait wait! (待って、待って) Josette! malentendu! (誤解よ!)」
慌てて追いかけようとした私の手を捕まえたのは、
「malentend? 僕はそれでも構わないけど」
真顔の煌だった。
「……なに、言うのよ」
「僕はそのつもりだけど」
「……え?」
「別に誤解されて構わないと言っているんだよ」
煌に捕まえられた部分だけが、なぜか焼けるように熱い。
「今日初めて会ったばかりで、何も知りもしないくせに何を言っているのかって。そう思っているんだろ」
本当にそう。
私はこくこく頷いた。
「思うわ」
「僕も同じ。自分がいちばん驚いているんだ」
信じられないよ、と煌は肩をすくめ、
「でも、これが真実なんだ」
と私の手の中のバレッタを指さしてくすぐったそうに笑った。
「初めてだった。誰かに何かをプレゼントしたいと思ったのは、この人生で初めてだった」
「変なこと、言わないで」
猛烈な恥ずかしさに襲われうつむいた私に、煌は静かに、とても穏やかな口調で言った。
「君は、僕の殺風景な野原に咲く、水色の花だよ」
自信を持って。
この留学を充実させて。
と。
「ああ、そうだ!」
その声に顔を上げると、煌は弾けるような笑顔で言った。
「来年の春に、行こう」
「行こうって……どこへ?」
首を傾げると、煌は真っ黒な瞳をくるくる輝かせて右岸を指さした。
その細くて綺麗な人差し指が真横にずれて、私を指さした。
「Solitaire reine (孤独な王女)」
これもまた、何かの縁ね。
そう言って、ジョゼットは私たちに言った。
「Les gars,vous mei lleur couple (あなたたち、最高にお似合いよ)」
先に帰っているわね、と踵を返したジョゼットを、
「Wait wait! (待って、待って) Josette! malentendu! (誤解よ!)」
慌てて追いかけようとした私の手を捕まえたのは、
「malentend? 僕はそれでも構わないけど」
真顔の煌だった。
「……なに、言うのよ」
「僕はそのつもりだけど」
「……え?」
「別に誤解されて構わないと言っているんだよ」
煌に捕まえられた部分だけが、なぜか焼けるように熱い。
「今日初めて会ったばかりで、何も知りもしないくせに何を言っているのかって。そう思っているんだろ」
本当にそう。
私はこくこく頷いた。
「思うわ」
「僕も同じ。自分がいちばん驚いているんだ」
信じられないよ、と煌は肩をすくめ、
「でも、これが真実なんだ」
と私の手の中のバレッタを指さしてくすぐったそうに笑った。
「初めてだった。誰かに何かをプレゼントしたいと思ったのは、この人生で初めてだった」
「変なこと、言わないで」
猛烈な恥ずかしさに襲われうつむいた私に、煌は静かに、とても穏やかな口調で言った。
「君は、僕の殺風景な野原に咲く、水色の花だよ」
自信を持って。
この留学を充実させて。
と。
「ああ、そうだ!」
その声に顔を上げると、煌は弾けるような笑顔で言った。
「来年の春に、行こう」
「行こうって……どこへ?」
首を傾げると、煌は真っ黒な瞳をくるくる輝かせて右岸を指さした。