フィレンツェの恋人~L'amore vero~
「Pourquoi? (どうして?)」
首を傾げたジョゼットの口調は穏やかで、
「Dites-moi Pourquoi? (なぜなのか、話してくれる?)」
まるで、私が何を言うのかを数日前から予測していたかのような口調でも、表情でもあった。
あなたたち、とても仲良しじゃないの。
今、煌は忙しいだけよ。
落ち着いたら必ずまた、しつこいくらい連絡してくるに決まっているもの。
それとも……、とジョゼットが真っ直ぐの瞳を私に向けて来た。
「Ne vous detestez Kou? (あなたは煌を嫌い?)」
私もジョゼットの目を真っ直ぐに、睨むように見つめ返して、
「Non」
たった一度だけ首を振った、次の瞬間だった。
「Si,pourquoi? (じゃあ、なぜ?)」
ジョゼットの声も、私の声も、その音でかき消されそうになった。
「Je suis amoureuse de lui (彼のことが好きだからよ)」
まるで、海賊船の帆が突風に叩かれたような、大きな音だった。
バタバタと音を立てて、池で羽根を休めていた黒鳥たちがいっせいに飛び立った。
「Je suis amoureuse de……Kou (煌のことが……好きだからよ)」
黒鳥たちは暖かそうな黄金色の空をぐるりと一周だけ旋回したのち、北の方角へ羽根を羽ばたかせて行った。
あの日、私を助けてくれた煌のスーツの裾のように。
「Je suis amoureuse……J'ai de la peine (好きだから……辛いのよ)」
気付いた時はもう、遅かった。
手遅れだった。
もうすっかり、一直線に底の底まで落ちてしまった後だった。
私は、煌に、恋をしていた。
それも、淡いものではなく、濃ゆく深いものだった。
会えない時間に比例するように、しつこい想いを募らせるほどの。
自分を恐ろしいと思ってしまうような、激しい感情さえ感じるような。
だから、この機会がいいチャンスかもしれないと思った。
このまま会わなくなって、それが当たり前になったら、好都合だと。
首を傾げたジョゼットの口調は穏やかで、
「Dites-moi Pourquoi? (なぜなのか、話してくれる?)」
まるで、私が何を言うのかを数日前から予測していたかのような口調でも、表情でもあった。
あなたたち、とても仲良しじゃないの。
今、煌は忙しいだけよ。
落ち着いたら必ずまた、しつこいくらい連絡してくるに決まっているもの。
それとも……、とジョゼットが真っ直ぐの瞳を私に向けて来た。
「Ne vous detestez Kou? (あなたは煌を嫌い?)」
私もジョゼットの目を真っ直ぐに、睨むように見つめ返して、
「Non」
たった一度だけ首を振った、次の瞬間だった。
「Si,pourquoi? (じゃあ、なぜ?)」
ジョゼットの声も、私の声も、その音でかき消されそうになった。
「Je suis amoureuse de lui (彼のことが好きだからよ)」
まるで、海賊船の帆が突風に叩かれたような、大きな音だった。
バタバタと音を立てて、池で羽根を休めていた黒鳥たちがいっせいに飛び立った。
「Je suis amoureuse de……Kou (煌のことが……好きだからよ)」
黒鳥たちは暖かそうな黄金色の空をぐるりと一周だけ旋回したのち、北の方角へ羽根を羽ばたかせて行った。
あの日、私を助けてくれた煌のスーツの裾のように。
「Je suis amoureuse……J'ai de la peine (好きだから……辛いのよ)」
気付いた時はもう、遅かった。
手遅れだった。
もうすっかり、一直線に底の底まで落ちてしまった後だった。
私は、煌に、恋をしていた。
それも、淡いものではなく、濃ゆく深いものだった。
会えない時間に比例するように、しつこい想いを募らせるほどの。
自分を恐ろしいと思ってしまうような、激しい感情さえ感じるような。
だから、この機会がいいチャンスかもしれないと思った。
このまま会わなくなって、それが当たり前になったら、好都合だと。