フィレンツェの恋人~L'amore vero~
パリ。
16区。
ヴィクトル・ユゴー通り。
パリの中でも治安が良く閑静で、オスマン調のシックなアパルトマンが通りに軒を連ねる高級住宅地だという事は、以前から知っていた。
一度だけだけれど、パスカルと一緒に煌の家に行った事があるの、まるでお城だった、とジョゼットが言っていた。
ジョゼットの言っていた通り、その建物はお城のようだった。
高級アパルトマンの最上階でエレベーターを下りる。
煌が鷹司グループの御曹司だと知った時も、今日、ベンツで迎えに来てくれた時も。
そして、超高級アパルトマンの最上階が煌の家だと分かった今も。
腰を抜かしてしまいそうなほど驚いたけれど。
「この時期は家政婦さんも休暇を取っているから散らかり放題で悪いけど。どうぞ、入って」
「あ……の……」
シャンデリアの煌めきを浴びながら、玄関の中へ一歩足を踏み入れる。
「おじゃまします」
実際に入ってみると、ますます驚く事になった。
庶民の私にとってその光景は現実離れし過ぎていた。
純白に煌めく巨大なシャンデリアの光に何度もぱちくりした。
吹き抜けの高い天井に向かって伸びる階段には紅の絨毯が敷かれていて、西洋映画で使われるセットのようで、本当に気後れする。
ぴかぴかに良く磨かれたオフホワイト色の床に、深緑色の大理石の柱。
美術館のような絵画が壁に並んでいる。
階段の脇には数人がかりでないと抱えきれないような大きな花瓶がどしりとあって、噴水のようにこぼれるほどのワインレッド色の薔薇がたっぷりと生けられてあった。
「すごい。本物の薔薇?」
「ああ、あれ……花は父の趣味なんだ」
正面には映画館のスクリーン大の鏡があって、私と煌の全身が明々と映り込んでいる。
まるで現実を突きつけられた気がして、私はこっそり背中を丸めた。
それは現実と真実を映し出す鏡だったから。
16区。
ヴィクトル・ユゴー通り。
パリの中でも治安が良く閑静で、オスマン調のシックなアパルトマンが通りに軒を連ねる高級住宅地だという事は、以前から知っていた。
一度だけだけれど、パスカルと一緒に煌の家に行った事があるの、まるでお城だった、とジョゼットが言っていた。
ジョゼットの言っていた通り、その建物はお城のようだった。
高級アパルトマンの最上階でエレベーターを下りる。
煌が鷹司グループの御曹司だと知った時も、今日、ベンツで迎えに来てくれた時も。
そして、超高級アパルトマンの最上階が煌の家だと分かった今も。
腰を抜かしてしまいそうなほど驚いたけれど。
「この時期は家政婦さんも休暇を取っているから散らかり放題で悪いけど。どうぞ、入って」
「あ……の……」
シャンデリアの煌めきを浴びながら、玄関の中へ一歩足を踏み入れる。
「おじゃまします」
実際に入ってみると、ますます驚く事になった。
庶民の私にとってその光景は現実離れし過ぎていた。
純白に煌めく巨大なシャンデリアの光に何度もぱちくりした。
吹き抜けの高い天井に向かって伸びる階段には紅の絨毯が敷かれていて、西洋映画で使われるセットのようで、本当に気後れする。
ぴかぴかに良く磨かれたオフホワイト色の床に、深緑色の大理石の柱。
美術館のような絵画が壁に並んでいる。
階段の脇には数人がかりでないと抱えきれないような大きな花瓶がどしりとあって、噴水のようにこぼれるほどのワインレッド色の薔薇がたっぷりと生けられてあった。
「すごい。本物の薔薇?」
「ああ、あれ……花は父の趣味なんだ」
正面には映画館のスクリーン大の鏡があって、私と煌の全身が明々と映り込んでいる。
まるで現実を突きつけられた気がして、私はこっそり背中を丸めた。
それは現実と真実を映し出す鏡だったから。