フィレンツェの恋人~L'amore vero~
私の恋人は、いつ見ても本当に素敵な人なのだ。
だからこそ、私のちっぽけな自信はこっぱ微塵に砕かれた。
何だって赤いワンピースなど着て来てしまったのだろう。
いっそ、地味で当たり障りのないフォーマルな服装の方がましだったのかもしれない。
良い振りをして背伸びをせずに、身分相応に。
全く似合っていない。
大きな花瓶からたっぷりとこぼれる薔薇のおこぼれみたいで、情けないったらない。
「あの……私、やっぱり……」
怖気づいて一歩後退した私の肩を、
「おっと。今からそんなじゃ困るよ。華穂」
煌は優しく包み込むように抱き寄せた。
「いずれは君もここで暮らしてもらうつもりなのに」
「……え」
ケーキの箱を落としそうになりながら弾かれたように顔を上げると、「ね」と意味深に微笑みながら、煌がさり気なくケーキの箱を持ってくれた。
突然、不意を突かれたためにどういった反応をすればいいのか分からなかった。
案山子のように立ち尽くす私に「行こうか」と煌が手を差し伸べる。
その手に手を重ねようとした、次の瞬間。
「コウ!」
その美しいクリスタルのような声にハッとして、とっさに手を引っ込めた。
凄まじい衝撃を、私は受けた。
「お帰りなさい!」
ホワイトローズ色のロングスカートの裾を、オーロラのように棚引かせながら階段を駆け下りて来た人物を見て、私は慎重に息を飲んだ。
そうでもしないと腰を抜かしてしまいそうだった。
だからこそ、私のちっぽけな自信はこっぱ微塵に砕かれた。
何だって赤いワンピースなど着て来てしまったのだろう。
いっそ、地味で当たり障りのないフォーマルな服装の方がましだったのかもしれない。
良い振りをして背伸びをせずに、身分相応に。
全く似合っていない。
大きな花瓶からたっぷりとこぼれる薔薇のおこぼれみたいで、情けないったらない。
「あの……私、やっぱり……」
怖気づいて一歩後退した私の肩を、
「おっと。今からそんなじゃ困るよ。華穂」
煌は優しく包み込むように抱き寄せた。
「いずれは君もここで暮らしてもらうつもりなのに」
「……え」
ケーキの箱を落としそうになりながら弾かれたように顔を上げると、「ね」と意味深に微笑みながら、煌がさり気なくケーキの箱を持ってくれた。
突然、不意を突かれたためにどういった反応をすればいいのか分からなかった。
案山子のように立ち尽くす私に「行こうか」と煌が手を差し伸べる。
その手に手を重ねようとした、次の瞬間。
「コウ!」
その美しいクリスタルのような声にハッとして、とっさに手を引っ込めた。
凄まじい衝撃を、私は受けた。
「お帰りなさい!」
ホワイトローズ色のロングスカートの裾を、オーロラのように棚引かせながら階段を駆け下りて来た人物を見て、私は慎重に息を飲んだ。
そうでもしないと腰を抜かしてしまいそうだった。