フィレンツェの恋人~L'amore vero~
買い物客の視線が、ハル一点に集まっている。
「とーうーこーさーん!」
それなのに、ハルはまったく気にする様子はなく、豪快に手を振って来る。
「やだ……」
恥ずかしい、とかそういう問題ではない。
他人のふりをしようとしたけれど、
「無視しないで! 泣くよ、今ここで! いいの? 東子さん!」
そこまで言われるともう無視をするわけにもいかなかった。
「もう、ハル!」
私はトマトを手にしたまま小走りでハルに向かった。
「東子さん!」
やっぱり、よく分からない。
ハルは大人なのか、まだまだ子供なのか。
「大きな声で呼ばないで。恥ずかしいじゃない」
周りの目をしきりに気にしながら言うと、
「それどころじゃないんだ! ぼく、驚いたよ」
とハルは意気揚々と目を輝かせた。
「ほら、見て!」
ハルが手にしていたのは、真っ赤な光沢のある形のいいパプリカだった。
「凄いよ、これは!」
まるで財宝を発見した海賊員のように、ハルは白い歯をこぼれさせた。
「真っ赤なピーマンだ!」
「はっ……」
がくっ、とこけてしまいそうになる。
「見て、東子さん! 黄色も、オレンジ色もある! なんだ、このピーマン!」
このピーマンは着色料でも使っているのか、とハルは目を輝かせながら聞いて来た。
周りの人たちが、可笑しそうにハルを見て笑っている。
「こんなにカラフルだと、体に悪そうだね!」
うわあ、なんて声を漏らしながら、ハルは次々にパプリカを取っては置き、取っては置き、じろじろと見つめる。
「とーうーこーさーん!」
それなのに、ハルはまったく気にする様子はなく、豪快に手を振って来る。
「やだ……」
恥ずかしい、とかそういう問題ではない。
他人のふりをしようとしたけれど、
「無視しないで! 泣くよ、今ここで! いいの? 東子さん!」
そこまで言われるともう無視をするわけにもいかなかった。
「もう、ハル!」
私はトマトを手にしたまま小走りでハルに向かった。
「東子さん!」
やっぱり、よく分からない。
ハルは大人なのか、まだまだ子供なのか。
「大きな声で呼ばないで。恥ずかしいじゃない」
周りの目をしきりに気にしながら言うと、
「それどころじゃないんだ! ぼく、驚いたよ」
とハルは意気揚々と目を輝かせた。
「ほら、見て!」
ハルが手にしていたのは、真っ赤な光沢のある形のいいパプリカだった。
「凄いよ、これは!」
まるで財宝を発見した海賊員のように、ハルは白い歯をこぼれさせた。
「真っ赤なピーマンだ!」
「はっ……」
がくっ、とこけてしまいそうになる。
「見て、東子さん! 黄色も、オレンジ色もある! なんだ、このピーマン!」
このピーマンは着色料でも使っているのか、とハルは目を輝かせながら聞いて来た。
周りの人たちが、可笑しそうにハルを見て笑っている。
「こんなにカラフルだと、体に悪そうだね!」
うわあ、なんて声を漏らしながら、ハルは次々にパプリカを取っては置き、取っては置き、じろじろと見つめる。