貧乏お嬢様と執事君!
執事。
お嬢様にお仕えするお付きの人だ。
ということは、やはりこの家は本当の家ではないのだ。
若干ほっと息をつく女子生徒たち。
『ねっねえ。鷹司さんのお部屋ってどんなの?』
『私の部屋?普通の部屋』
『どんな雰囲気?私のお部屋はピンクで統一してるのー』
『そりゃ、逆に気持ち悪いわよ』
作り笑いがこぼれる。
『モダン風?』
まだしつこく聞いてくる友に、何の気なしなく鷹司は言った。
『だったら見る?散らかってると思うけど』
鷹司はすらりと立ちあがり、目でついてこいと指示をだす。
ああ、やっと別館から本館へと行けるのだ、と少女たちは再び心を浮きだせた。