貧乏お嬢様と執事君!
『粗茶ですがどうぞ』
膝をつき、初々しい妻のような手つきで欠けている茶碗に緑茶を注ぐ執事。
意外にもミスマッチしている。
ちゃぶ台の真ん中にあるいい色になっているミカンを、鷹司は素手で奪い去り、雑に皮をむき始める。
『ああっお嬢様。そのようなことはこの私が』
『だーいじょうぶだってばこんぐらい』
『いえ、やはりミカンの筋をとるのは私の仕事………』
『なにその地味な仕事』
あなたたちも食べる?人数分のミカンを器用に片手に収めながら目で問うてくる。
『あっいえ………』
『ごめんね何にもなくて。次からはうまい棒でも買ってくるから』
『かしこまりましたお嬢様』
優雅に一礼する執事を見ていたら、ここがお金持ちの家だと錯覚させられた。