貧乏お嬢様と執事君!
『もういいの?』
『………ええ、お邪魔しました』
『そっ。また明日ねー』
特に彼女たちの最初との温度差に気づくこともなく、送り出した。
隣では、執事が頭を深く下げている。
帰宅中の小学生を思わせる並び方で、無言で歩く。
角を曲がっても誰も一言も発しなかった。
『………ねぇ。あれって』
『………忘れましょう。私たちはなにも見てない。オーケー?』
その言葉に、一斉にうなずいた。
ここに『鷹司さんの秘密を守る、というか忘却する会』が出来たのはどうでもよく、誰も必要としていないことである。